反対意見①

小野:私はルッキズムをやめるべきだと思うよ。

上田:そう考えた理由は何かな?

小野:やっぱり外見で悩む人や差別されて苦しんでいる人が多くいるからだね。私たちの学校では60%以上の人が容姿で悩んだことがあるそうだよ 容姿によるいじめやいじりは、学校生活を送っている私たちには特によくわかることだと思う。容姿についてのいじりはほとんどの人が経験したことがあると思うな。

此本:確かに私たちの周りにも「ブス」とか「ダサい」とか、心無い言葉を投げかけてくる人っているよね。

上田:僕は目が小さすぎて「寝てるかと思った」ってからかわれたことがあるよ。

小野:私も肌の色とか髪型とかでいじられたことがあるよ。意外とそういうことを言う人って悪気なく言っている場合も多いんだよね。

岡本:ルッキズムの考え方って根付いてしまってるんだね。

小野:私たちもそういった発言を無意識でしてしまっている可能性だってある訳だしね。

小野:私たちはからかわれたりいじられたりといった程度だけど、結構そういう言葉ってトラウマになったり、ずっと心残りになったりするよね。さらにこれが発展していくと、いじめになってしまうこともあるんだ。私たちの学校では5人に1人が見た目に関するいじめを受けたことがあるそうだよ。

岡本:5人に1人か…。それは深刻な問題だね。

小野:これがきっかけとなって、学校に来ることが出来なくなってしまったり、人と話すことができなくなってしまったり、最悪の場合だと自分を追い詰めてしまい自殺してしまったりなんてことも実際に起きているんだ。

此本:それは確かに放置していていい問題じゃないね。

小野:そしてインターネットが普及した現代社会では、SNS上の見た目に対する誹謗中傷も多く見られるようになってしまっているんだよ

上田:確かにSNSで容姿に対するアンチコメントを頻繁に目にするよ。あれすごく嫌な気持ちになるよね…。

此本:あの…アンチコメントって何?

岡本:アンチコメントっていうのは批判的なコメントのことで、主に攻撃的な発言のことを指すことが多いよ。

此本:なるほどね。

小野:度の過ぎたアンチコメントや誹謗中傷はうつ病やパニック障害、拒食障害等の病気を引き起こしたり、精神的な苦痛の原因となったりするんだ。勿論学校などで起きる容姿いじめ等でもこのような病気が引き起こされるんだよ。

此本:確かに私の知り合いにも容姿によるいじめでうつ病を患ってしまった人がいたよ。

小野:現代の「ルッキズム」を重視する風潮で苦しんでいる人が多くいるから私は「ルッキズム」はやめるべきだと思う。

上田:なるほど、「ルッキズム」の風潮で苦しんでいる人が沢山いるんだね。確かにそれで苦しんでいる人がいるのであれば、「ルッキズム」はやめるようだという考えは良くわかるね。

反対意見②

岡本:僕が「ルッキズム」に反対する理由は、人種差別等の「ルッキズム」問題があるからだよ。肌の色を理由にした差別が、昔からずっと深刻な社会問題として存在していることはみんな知ってるよね?

上田:うん。歴史の授業などで習ったよね。アメリカ系アフリカ人が「黒人」と呼ばれたり、アジア人が「黄色人種」と呼ばれたりして、ヨーロッパやアメリカなどで差別されたり迫害されたりしたんだよね。

岡本:そうなんだ。人種差別(レイジウム)や肌の色を理由にした差別が行われている原因には、歴史や文化の違いなど様々なことが挙げられるけど、原因の一つとして「ルッキズム」の考えがあるよ。「ルッキズム」は、その人の中身ではなく、見た目だけで人格を判断してしまい、様々な差別や偏見を助長するリスクをはらんでいるんだ。こういった差別は、迫害や銃撃事件、暴行死事件を引き起こすきっかけとなっているんだ。

川村:そういったことが起きているのはとても悲しいことだね…。

小野:こうした差別の撤廃を求めて1950年代半ばから1960年代半ばにかけて「アフリカ系アメリカ人公民権運動」が起きたり、2012年2月に起きた射殺事件を契機に「Black Lives Matter運動」が広まったりしているよね。

岡本:そうだね。社会的にこういった差別をなくそうという動きは起きているんだけど、根本的な解決にはつながっていないんだ。僕はみんなに根づいている「ルッキズム」の考えを見つめ直し、改めていかないと差別のない世界を作ることは難しいと思う。

此本:なるほど。確かに「ルッキズム」は差別の原因となる考えなんだね。

上田:歴史を見てそこから学んでいく姿勢、すばらしいね。

反対意見③

小野:後は冒頭でも触れたけど、顔採用も「ルッキズム」問題の一つだよ。実際に私たちの学校で中高生100人を対象に「あなたは会社の人事です。履歴書の写真を見た時、どちらの人を採用しますか。」という内容のアンケートを行なってみたんだ。アンケートには男性、女性の写真をそれぞれ2つずつ添付していて、その写真からどちらがよいか1つずつ選んでもらったよ。画像は生成AIを用いて作成したよ。アンケート結果は下のようになったよ。

上田:だいぶ偏ってるね。

小野:これは極端な例を出したから仕方ない部分もあるんだけど、この結果は「人を外見で判断してしまう傾向」を示しているんだ。この人たちの性格や能力が分かっていなくても、見た目の良い方を採用するのは公平とは言えないよね。

此本:でも私がさっき話した内容と重なるけど第一印象や見た目って結構大事なんじゃないかな。

岡本:見た目に気を遣っているということは、細部まで気を配れる常識のある人間だと判断する材料になるのは勿論分かるよ。だけどみんなも、最初の印象と喋ってみた時に感じる印象が全然違ったっていう経験あるんじゃない?

川村:それはあるね。それにもし自分が見た目で私の実力以下の評価をされたら、すごく悔しいな。

上田:そうだね。それが採用で行われていると考えてみて。自分の方が人間性がしっかりしていて実力も伴っているのに、外見を理由にして他の人が採用されたとしたら…。

此本:それは不公平だね。

小野:実際に学校で「見た目で特別な扱いをうけている人を見たことがあるか」という質問をしたところ、100人中60人が見たことがあると答えたよ。見た目で優遇されていたり、逆に自分が不当な扱いを受けたりすることは身近でおこっているんだね。

川村:複雑だね…。

此本:こういうのがきっかけで人との関係がこじれたりしたら悲しいね。

小野:皆がそういう経験をせずにすむように、何かできることはあるんじゃないかな。

岡本:平等に機会が与えられていないのは不公平だよね。また「ルッキズム」をなくすことは、持続可能な開発目標(SDGs)の目標10「人や国の不平等をなくそう」の実現にも必要不可欠なことなんだ。さっき触れた差別問題も含め人を容姿で判断して勤労機会を制限したり不公平な評価を下したりすることは、私たちの目指す「誰も取り残さない」世界にはふさわしくないんじゃないかと思うよ。

上田:その通りだね。

(本文で扱っているアンケートは、岩田学園で中高生100人に行った調査です。 また形成外科は大分市にある銀座美容クリニックに訪問し、ヒアリングを行いました。)

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